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BPLS3 敗退したチーム達

BPLを〇〇倍楽しく見るために その①

先日初心者向けの記事を書いている時にふと思った事があります。

・BPL本戦を初心者の方が見た時にプロの凄さをどの程度理解できるのだろうか。

・IIDXはその歴史の長さから、プレイヤーの間で日常的に使わている専門用語が多数あります。そういった用語は意味を知らないと理解が出来ない事も多いのではないか?

・また、プロ選手たちは高難易度譜面をいとも簡単にさばいているように見えるが、実際どういう部分が難しいのかという点は画面を見ただけの情報では判断がしにくそうだ。

そんなことを考えてしまいました。そこで今回はIIDXの深い知識が無くてもBPLを楽しく観戦できるように「BPLはこんな部分に注目して楽しもう」「このくらいの知識をもっておくともうちょっと深く楽しめる」という記事を書いてみようと思います。記事の中では時折IIDXで多用される用語を使用し、その解説を随時挟んでいます。

注:管理人はSP十段程度の実力であり、プロ選手の実力には到底及びません。よって、様々な点で的外れな事を書いている場合があります。ご指摘、質問、ご意見、いちゃもん、文句は随時募集しておりますので、コメントやTwitterのDM、リプライなどでお気軽にお寄せください。


【1】譜面の配置に関するお話

譜面の配置に関わる重要なオプション

IIDXが他の音ゲーとは大きく異なる点として、「RANDOM」オプションの存在があります。これはノーツが落ちてくるレーンをランダムで入れ替える(ただしスクラッチは対象外)というオプションです。音ゲーで降ってくるレーンを入れ替えて遊ぶというゲームはあまり見た事がありませんが、IIDXでは多くの上級者が日常的に使っているオプションです。また、中級者が上級者を目指す過程においては、多種多様な配置に触れる為の練習にも向いたオプションになっています。

レーンを入れ替えるという言葉だけでは伝わりにくいと思いますので画像で説明します。



→→→

(DOLL(SPA)最後の一小節 出典:https://textage.cc/score/index.html)

(IIDXの鍵盤は左から1→7の順番で呼びます)
左が正規譜面、右がRANDOMをかけた譜面です。
この場合は「1234567」が「2561437」に並び替えられています。

反対にこのRANDOMオプション等の配置を変更するオプションを一切使わない場合を「正規譜面」と呼びます。また正規譜面をそのまま鏡に映したように左右を入れ替えるオプションに「MIRROR」があります。正規譜面とMIRRORオプションの2つは譜面が「固定化」されるため「固定オプション」と呼ばれています。


その他にも、1をいずれかの場所に配置した後にそこから右、もしくは左にむけて234567と配置される「R-RANDOM」(例:1234567→3456712、4321765など)、レーンを入れ替えるのではなくノーツ単位ですべてがランダムに配置される「S-RANDOM」があります。BPL本戦では全てのオプションが何らかの曲で選択されています。


 

(左から順に MIRROR R-RANDOM(5671234) S-RANDOM)

・これらのオプションがもたらす「醍醐味」

この譜面配置に関するオプションは選曲前に決定しなければなりません。よって、このオプションを使うかどうかに当たっては「譜面に関する知識」が必要になってきます。押しやすいかどうかはプレイヤーによる個人差も存在する為、一般的なプレイヤー間ではRANDOMが普通となっている譜面でもそれがその人にとっての正解かどうかもわかりません。プロ選手でも、BPLに向けて練習している過程で今まで選んでいたオプションとは別のオプションを練習で試して、それが正解だったことを発見できたので勝利する事ができたという後日談をしていた選手もいらっしゃいました。

(ファーストステージ第9試合から。BIGソムタム(SPA))

(対象となる楽曲を練習中にこの曲の正規譜面が押しやすい事を見つけたと後日談で語ったDOLCE.選手。同一譜面で戦う各チーム1巡目指名の両者。曲中盤に差し掛かるも点差は0)

BPLではスコアを出すことが第一条件ですが、我々が普段ゲームセンターでプレイする場合においてはスコアの前にクリアできるようになりたいという場合もあります。クリアなのかスコアなのか、どちらを狙っているかによっても推奨されるオプションが変わってくる曲もあります。

特にファーストステージでは登壇してから選曲発表だった為にチームメイトと相談する余裕もなく試合が始まってしまうという状況でした。自分の担当部門の曲に対する幅広い理解が問われたのではないかと思います。

RANDOM譜面はその時々に応じて譜面が変化する為譜面の「当たり」「ハズレ」が存在することに対して、固定オプションの2つは譜面に変化が起きる事がありません。BPL2021ではこの「固定オプション」で捌ける事の重要性が大きく注目されたシーズンだったと思います。「固定オプションの魔術師」ことSEIRYU選手が多くの選曲で固定オプションで勝利を勝ち取った事と、高難易度曲をRANDOMでプレイした選手がことごとく「ハズレ譜面」を引き当ててしまい崩れてしまうシーンが多かった事で、「固定譜面を捌けることによって高水準で安定したスコアが獲得できる」ことの強みが一気に明るみになりました。BPLによって「銀座譜面」というワードも誕生しました。BPLの試合会場が銀座にある事、本戦でRANDOMオプションによって極端なハズレを引く選手があまりに多かったことから「RANDOMで引いた極端なハズレ譜面」を指します。

(セカンドステージ第5試合から。STEEL NEEDLE(SPA))

(RANDOMによって67交互押しという押しにくい配置が頻繁にくるハズレ譜面を引いてしまったG*選手は他の試合でもRANDOM運に恵まれず。「お祓いに行った方がいい」とは本人の後日談)

また、BPL本戦やアリーナモードといった対戦方式の場合、双方がRANDOMを選んだら双方に同一の譜面が降ってくるのが特徴です。つまりRANDOMで当たりを引いた方が勝ちなのではなく、自分が当たり譜面を引いていたら対戦相手にとっても当たり譜面である可能性が高いという事になります。選手同士の得意不得意や対戦相手のことを意識した場合に、同一譜面での勝負を避けるという意味合いで相手が選びそうなオプションを避けたり、相手のオプションを読んだ上で自分は相手と異なるオプションでの練習によって差をつけるなどといった、譜面オプションの読み合いも発生しています。

(セカンドステージ第10試合から。Reflux(SPA))

(MIKAMO選手の選曲に対してS-RANDOMで対抗するWELLOW選手。視聴者も解説も意表を突いた選択に動揺が広がった)

このように、BPLは音ゲーをプレイしスコアを競うゲームという表面上は凄くシンプルな見た目をしている反面で、その裏には膨大な量の譜面に対する知識や知恵が絡み合った戦略的な駆け引きも生まれているという事を覚えておくといいと思います。



【1-2】練習による「クセ」のお話

ではどの曲も固定オプションで練習すればいいのでは?と思うかもしれません。ですがそれもまた危険な練習方法なのです。IIDXで同じ曲を練習し続ける事による「クセ」がついてしまうのです。同じ譜面を繰り返すという事は指も同じ動きになります。そして指を動かすことに対して連動する腕、肩、ひいては体全体が常に同じ動きになります。この動きが体に染みついてしまい取れなくなってしまうのです。

「クセ」がついて同じ動きが出来るようになるのならその曲を仕上げるという意味ではいいのではないか?と思うかもしれません。これは実は全然違うのです。しみ込んでしまったクセは他の曲が対応できなくなるばかりか、クセがついた原因となった本来練習していたはずの曲まで上手くできなくなってしまうのです。他の曲が押せなくなる現象についてはまだ理解できると思いますが、練習していた曲まで押せなくなってしまうのは何故でしょうか。

IIDXの基本は「見て押す」です。プロ選手の画面を見るとノーツが早すぎて認識が出来ないという方も多いと思いますが、彼らがRANDOMオプションをつけてもプレイが出来ているのは、「見る」→「押す」の動作が出来ているからです。固定オプションでこれを繰り返すと見てからの反応が早くなって譜面がくるより先に体が動き始めてしまったり、特定の指の動きが固定化されやすくなってしまうという現象が発生します。体が覚えてしまったが為にうまく制御が働かなくなってしまい、結果とんでもない実力を持つ選手でもクセがついたらLv12の中でも簡単な部類の譜面ですら押せなくなってしまう。。。こんな現象が発生してしまうのです。

多くの上級者は特定の曲をクリアしたいが為に「粘着」と呼ばれる、同じ曲を繰り返し選曲した経験があるはずです。そして多くの方が「クセがついてしまった」経験も持っているのです。だから固定譜面をやり込むことに抵抗がある選手が少なくなく、固定譜面で押せることに対しての賞賛があるという、他の音楽ゲームではあまり見られない風潮がIIDXには存在しています。


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というわけで今回はIIDXの譜面に関する豆知識や駆け引きをご紹介させて頂きました。
選手達も後日談でオプション設定などに関わる色々な背景を語ってくださっているので、各チームごとのチャンネルなどで配信された振り返り配信も併せてご覧ください。

ちょっとした知識1つでもっと楽しく見られれば・・・と思って書き始めたのですが、結構長くなってしまいましたね。申し訳ありません。ですが、まだ続編を書こうかなとも思っておりますので引き続きお読みいただけたら幸いです。

ありがとうございました。



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